Love is blue
高台にあるわたしの小さな家
丸窓から見える海が静かに拡がり、微かに見える水平線は蒼い地球の輪郭を描いていた。
ベランダへと干した真白な洗濯物に潮風が吹き抜け、ぱたぱたと乾いた音をたてると、海面から見たことのない魚が飛び跳ね陽光を銀色に反射してくれた。
笛の音が聞こえてきた。たぶん、お隣の杏里ちゃん。
『恋はみずいろ』のメロディ。海も地球に恋をするのかしら、なんて思いながらも息継ぎのところで微笑んでしまった。
ソプラノ笛のあどけないメロディが透きとおる風船のように膨らみ大海原へと拡散していく。
もう少しよ、なんてね
うんざりしながらも2回目の洗濯が終わり、ベランダへと主人の下着やら子供のカラフルなシャツを干しながら良い天気だから布団もついでに、なんて思った。
見渡す限りの海面、取り残されたようなコンクリートの煙突の先端が雲ひとつない青空と、今日という世界に光を与えてくれる太陽を見上げていた。
極地溶解による海面上昇は人知の及ばぬ力となり突き進んでいる。
昨日までの吉原本町は深い海の底。海色に染められた製紙工場の煙突が遠い記憶のように揺らいで見えた。
みんな、海に帰るのね
部屋の掃除もおしまい。お昼寝でもしようかしら。
そう呟きながらリビングのソファーに寝ころぶと、よせてはかえす波音が聞こえてきた。
せつないほど美しい地球色の夢へとわたしは、そっと手を延ばしはじめる。
ペンギンフェスタ2007参加作品です。 http://www.pinky.ne.jp/~butapenn/penguin.html
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コメント
たまごさん、読んでいただきありがとうございます。
きれいな海、波音を感じられる環境で暮らしたいですね。と言いながらも、台風4号の雨がすごいことになってます。ごうごうと風の音が聞こえると得体の知れない怪物がやってくるような気がします。
投稿: zenigon | 2007年7月15日 (日) 07時56分
こんな風に海をみながら家事をしてみたいです。
現状は高速道路を眺めながらベランダで洗濯ものを干してます。
今回は主婦目線なのに、可愛らしい感じになってますね。ラストなんか、乙女チックにさえ感じました。
いい感じで、まrったり気分で読み終えましたよ。
投稿: たまご | 2007年7月13日 (金) 13時35分